なぜ「最大射程」という「当たることが期待できない距離」が記載されているのか
対空砲のスペック表に「最大射程」と「有効射程」の両方が記載される理由は、それぞれが異なる実用的意味を持つためです。
■最大射程が記載される理由
1. 配置計画の基準 – 防空陣地の配置を計画する際、理論上カバーできる空域の範囲を把握する必要があります。複数の対空砲を配置する際の間隔や、防空網の穴を塞ぐ計画に役立ちます。
2. 警戒範囲の設定 – 敵機がこの距離に入れば、少なくとも物理的には射撃可能という境界線を示します。運用者は最大射程内に入った目標を追跡し始める判断材料にします。
3. 技術的性能の指標 – 砲の機械的能力や弾薬の性能を示す客観的データとして重要です。開発や調達の際の比較基準になります。
4. 抑止・心理的効果 – 敵側に対して「この範囲内は危険」という心理的プレッシャーを与える意味もあります。
5. 幸運弾の可能性 – 有効射程外でも、偶然や特殊な状況(敵機の針路、気象条件など)で命中する可能性はゼロではありません。
■実際の運用ではどうか
実戦では有効射程内での射撃が原則です。しかし最大射程は「絶対に届かない距離」と「もしかしたら届くかもしれない距離」の境界を示すものとして、作戦立案や陣地配置には必要な情報なのです。